長野県白馬村にある簗場(ヤナバ)スキー場は、かつて多くのスキーヤーやスノーボーダーに親しまれたゲレンデでしたが、近年は休業状態が続いています。最新の情報では、経営難や気象条件の影響もあり、2016-2017シーズンを最後に事実上の閉鎖が決定されました。本記事では簗場(ヤナバ)スキー場の閉鎖に至った経緯や理由、現在の跡地の様子、周辺地域への影響などを詳しく解説します。
簗場(ヤナバ)スキー場 閉鎖の経緯と概要
簗場(ヤナバ)スキー場の閉鎖に至るまでには、長い歴史があります。本項では、開業当初から休業決定に至るまでの経緯を詳しく見ていきます。
開業からピーク期までの歴史
簗場(ヤナバ)スキー場は1972年に開業し、1985年にはJR大糸線の専用駅「簗場スキー場前駅」が設置されました。
開業当初は東京圏からのアクセスも良く、北アルプスの眺めを楽しめるゲレンデとして人気を集めていました。1990年代初頭にはピークを迎え、年間約13万人の利用客を記録しました。
| 年度 | 利用者数(概数) | 出来事 |
|---|---|---|
| 1985年 | – | JRに「簗場スキー場前駅」開業 |
| 1993年 | 約13万人 | 利用者数ピーク |
| 2012年 | 約2.4万人 | 来場者減少 |
| 2016年 | 約0.8万人 | 営業最終年 |
利用者減少と経営環境の悪化
その後、2000年代以降は全国的にスキー人口の低下や地方の人口減少が進み、ヤナバでも利用者数が減少しました。
他の白馬エリアのゲレンデへの乗り換えや若者のスキー離れも影響し、2012年度には利用者数が約2.4万人とピーク時の約13万人から大幅に減少しています。経営合理化の取り組みが続けられましたが、収益回復には至りませんでした。
2016-17シーズン営業休止の決定
2016-17年シーズンは極端な暖冬による雪不足で、わずか40日間しか営業できませんでした。
この年は約7,900人の利用にとどまり、売上も極端に落ち込みました。この結果、スキー場運営側は2017年以降の営業継続が困難と判断し、事実上の閉鎖(営業休止)を決定しました。
閉鎖に至った背景と要因

ヤナバスキー場の閉鎖には、気候や社会的な変化など複数の要因が重なっています。以下で主な背景を確認していきます。
雪不足・気候変動の影響
近年は暖冬傾向が顕著となり、雪不足がスキー運営に大きな打撃を与えています。
ヤナバスキー場は標高差が小さい(830m~1130m)ため、少雪時はゲレンデ維持が難しくなります。人工降雪機も完備されていましたが、それでも長期的に十分な積雪を確保できない年が増えました。暖冬や急激な気温上昇が雪の消失を早め、営業日数の減少や除雪コスト増加を招きました。
人口減少とスキーユーザー減少
白馬村を含む信州地方では少子高齢化による人口減少が進み、若年層を中心としたスキー需要が低下しています。
また、関東圏や海外からの観光客誘致に力を入れるスキー場が増える中、小規模で専用性の高いヤナバスキー場は集客競争が厳しくなりました。これにより年間利用者数は減少傾向が続き、十分な収入が確保しづらい状況となっていました。
運営コスト増大と経営難
設備の老朽化に伴い、リフトやスノーマシンなどの維持費用が増加しました。人工雪製造装置や除雪機など、経営判断だけでは投資回収が難しいインフラの更新も迫られています。
一方で利用者減少による収入減が重なり、収支は悪化しました。このような経営環境の悪化が、運営側にとって休業・閉鎖決断の大きな要因となっています。
閉鎖後の跡地の変化と活用状況
2017年以降もヤナバスキー場は営業を再開しておらず、跡地は現在も閉鎖されたまま残されています。以下に跡地の様子と再利用の可能性に関する動きを紹介します。
残された施設と設備の現状
休止後も広大なゲレンデにはリフト2基がそのまま残されています。
センターハウスやレストランなどの建物は雪に埋もれつつありますが、一部は比較的良好な状態で保管されています。駐車場やコース脇に残る除雪機械のほか、過去に作られたパークアイテムの一部が未撤去のまま積雪に覆われています。
ヤナバスキー場前駅の廃止
ヤナバ駅はスキー場前駅として親しまれてきましたが、スキー客の激減を受け2019年3月に廃止されました。
ホームや駅舎は撤去され、線路沿いにはかつての駅の痕跡もほとんど残っていません。現在、最寄り駅は数キロ東の青木湖駅となり、鉄道でのアクセスは事実上途絶しています。
跡地の活用と地域の取り組み
跡地については、明確な再開計画は示されていません。一部では観光施設や宿泊施設への転用案が浮上するものの、具体的な計画は未定です。
また、報道や地元情報によれば、2017年にリゾート再生企業のグループ会社「Blue Resort Yanaba」が設立され、一時はヤナバの活用計画も噂されました。しかし現時点では事業化された動きは見られず、自治体は引き続き事業譲渡先の模索を続けています。
周辺地域への影響と観光動向
ヤナバスキー場の休止は、地元観光への影響や周辺スキー場の動向にも影響を与えています。ここでは周辺環境の変化と観光客の動きを見てみましょう。
近隣スキー場と観光資源
周辺には白馬エリアの大手スキー場(八方尾根、白馬47、五竜など)があり、これらが広域で連携しています。
ヤナバ休止により、一部のスキー客はこれら他ゲレンデに流れたと考えられますが、各ゲレンデは国際的にも有名でインバウンド誘致も強化されており、吸収力があります。また地域の観光資源として、北アルプスや青木湖の眺望、高原リゾートも引き続き観光客を惹きつけています。
青木湖周辺の観光の今
ヤナバスキー場は青木湖のすぐ近くに位置し、冬のスキーツアーで訪れる人も多くいました。現在は青木湖周辺で冬季はワカサギ釣りやトレッキングなどが行われ、夏季にはカヌーやキャンプなどが盛況です。
このように白馬村全体では季節に応じた多様な観光コンテンツが整備されており、ヤナバ閉鎖後も観光客は他のアクティビティに振り向けられているため、地域経済への影響は限定的と考えられています。
交通アクセスの変化と地域経済
ヤナバスキー場前駅廃止で、公共交通は村内バスや路線バス頼みとなりました。これにより、観光客は車利用を余儀なくされるケースが増えました。
しかし白馬村ではアクセス改善策として、観光周遊バスの運行強化や訪日客向けの交通案内整備が進められています。これらの動きが功を奏し、リフト券の販売や周辺宿泊施設への需要は一定程度保たれています。
再開計画と将来の見通し
一度休止したヤナバスキー場ですが、将来的な再開に向けた期待と課題も取り沙汰されています。ここからは、再開に向けた新しい動きと展望を紹介します。
新たな運営会社の動き
ヤナバスキー場は事業譲渡・再編の動きが見られました。2017年には再生企業が「Blue Resort Yanaba」を設立しましたし、その後には他の観光開発会社が関連権益を取得したとの情報もあります。
これらの動きは新たな投資・再開への布石と見られ、将来的には高級別荘やプライベートスキークラブなどの構想も語られています。しかし具体的な投資計画や着工は公表されておらず、まだ全体像は不透明です。
再開への課題と検討
再開には克服すべき大きな課題が残っています。例年雪に恵まれる白馬でも、ヤナバは標高が低いため気象リスクが高く、暖冬時の通期営業には不安があります。
そのため、人工降雪設備の増強や夏季リゾート化(マウンテンバイクコースやトレイルランニング施設など)の導入など、多角的な収益モデルが検討される必要があります。また、地域全体の観光資源との連携やインバウンド旅行客の取り込み戦略も重要な論点です。
地域社会の期待と展望
地域住民や旅館業者からはヤナバスキー場の再生期待が高まっています。白馬村北部のにぎわい創出につながるとして、再開が実現すれば新たな雇用や経済効果が期待されます。
官民連携での再建プロジェクトが実現すれば、地元企業や行政にとっても活性化の追い風となるでしょう。現時点では計画は流動的ですが、地域全体が冬季観光の拡充に向け協力する動きは続いており、今後も注目が集まっています。
まとめ
簗場(ヤナバ)スキー場は現在も営業を休止しているものの、閉鎖に至った理由や跡地の状況を振り返れば、白馬エリアの観光事情やスキー業界の課題が浮き彫りになります。
少雪や人口減少といった構造的問題の中、地域は既存の資源を活かしつつ新たな魅力づくりを模索しています。ヤナバ跡地に新たな活用策が見いだされるかは未定ですが、再生が実現すれば地域経済への好影響は大きいと期待されます。最新情報では、跡地開発の動向にも注目が集まっており、地域全体で今後の行方を見守っています。
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